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ケータラー往復書簡No.003「マニアック×天然菌」

ゆきさん
こんにちは。
ちゃんとお話しもしたことないのにお手紙を出すってなんか不思議な気分です。モコメシのモコさんが最近食べたものでマニアックでおいしい食べ物は?との問いかけがあったのであれこれ考えていたんですがゆきさんは何かありますか?私は、昨年出会ったんですよ、マニアックな食材に。しかも実はゆきさんが活動されている徳島県で!

そもそもマニアックってなんだろう?って最初よくわからなくてウィキペディア先生に聞いて見たところ「マニア」の語源は、ギリシャ語で狂気を意味する μανία 。日本語では「~狂(きょう)」、マニアックは物事に熱狂している人とのことだそうです。それって私が食材探しの旅で、出会う人々のことではありませんかー。と最近であった生産者さん、徳島県阿波市三浦醸造所の杜氏さんを思い出しました。

ゆきさんはねさし味噌を知ってますか?
こちらのお味噌は麹大国日本では珍しい塩と豆のみで作るお味噌。

麹を使わずして一体誰が大豆を分解させるのか、
それは蔵についた菌と空気中にいる天然の菌なんですよね。

麹菌と合わせないので、甑(こしき:大豆を蒸す木おけの様なもの)で蒸して潰した大豆にお塩を合わせたものをでっかいコッペパンのような『ナマコ』と呼ばれる形に整形して寝かして蔵に並べていく。寝さす(寝かす)のでこのお味噌は『ねさし味噌』。

寝さしている間に空気中に漂う菌たちがわーい♪と寄ってきてくっつき、分解を始めます。もうそろそろ、2月の頭くらいには味噌玉にふわふわの毛カビが生えてきて、菌たちの仕業が目に見えてきます。

見えない菌たちとともに食材を錬金術のように変化させていくなんて素敵なお仕事ですが、天候次第で別の菌が発生してしまい、うまく作れなかったり
そもそも時間がかかるので効率が悪かったりと苦労が多い。それでも、近代的な作り方ではなく、菌たちと共に味噌を仕込み、少量だけど醤油や甘酒も仕込んでいる。醤油や甘酒の原料は杜氏さん自ら自然農の畑で育てている。
畑も農薬や肥料は一切与えず、土壌菌と植物の力を活用した農法。蔵も自分で建てて、木桶の修理も自分で。

なにから何までやって大変では?と思うけど、杜氏さんはふわふわと(妖精っぽい)楽しそう。にこにこしながらさらなる野望、甘酒の発酵温度へのこだわり、畑の事、、、話が尽きることはない。

ねさし味噌は製法の違いから一般的なお味噌とも、赤味噌のような豆味噌とも違う味や風味がある。少しブルーチーズ のような奥深い旨味に、カカオのようなビターな風味。ベルベットのようななめらかな質感。

初めて食べた時食べたことのない味と風味に驚き感動した。チョコレートと合わせたら美味しそうとか、(ゆきさんのお菓子で実現しないかな♡)甜麺醤みたいに使ってもいいなーとか色々と考えてみて、最近は煮込み料理に加え味の奥行きを出すのに一役買っている。ケータリングフォーミーでも鹿のラグーで活躍しています。

私は旅にでて面白いと思うことは同じ食材でも全く違う使い方をしていたり、全然違う食材で似たような料理を作っているのを見るのが面白いと思っていて、(知っているからその違いがわかるというか、その土地の特徴が現れるというか…)

海外の面白い料理や食材を使って料理するのも楽しいけど日本にもまだまだマニアックで面白い食材があるからコロナで出かけられない分、色々調べてみたり取り寄せてみるのいいなーっておもいます。

私がゆきさんに聞いてみたかったことは最近食べて美味しかったまかないや仕込み中の楽しみについて聞きたいです。仕事柄どうしてもまかないって試作や残りものになってしまって、美味しいけど気分転換にはならないなーって思って。

ヤスダ